あがり症という言葉を聞いたことがありますか。あがり症とはどのような症状を示すのか、あがり症とはどういうものなのか、また、あがり症になってしまう原因とあがり症の対策について説明します。
あがり症とは人前で話すときなどにあがってしまう症状のことを指します。外国人に比べて日本人の方が、あがり症になる人は多い傾向にあると言われています。日本においてこのあがり症になってしまう人は増加しているとも言われています。
あがり症とは何か
「人前に立つと赤面してしまう」というのが赤面恐怖症で、この症状があらわれる「あがり症」の人が多く見られます。
具体的にあがり症の人にあらわれる症状について触れてみましょう。「あがり症」と総じて言われますが、あがり症の範囲は非常に広くなっているのが特徴です。その中からいくつかあがり症にあてはまる症状を見てみましょう。
まず人前に立ったとき。
人前に立つと上がってしまい話せなくなってしまったり、話す声が震えてしまったり、手や足が震える、というのはあがり症の症状の一つです。声が吃ったりする場合には、吃音恐怖という症状で呼ばれることもあります。
その他、人前で立つときにあらわれるあがり症の代表的な例としては、発汗恐怖症もあげられます。これは、人前に立つだけで汗を異常にかいてしまう状態のことを指します。
こういった症状が「あがり症」でもっとも一般的に見られている症状かもしれません。
あがり症の原因(生理的原因)
あがり症はどういった原因で起こるのでしょうか。人の体の生理学的な面からあがり症の原因を探ってみましょう。
あがり症になると、内臓に問題がなくとも汗をかいたり、赤面したりといった症状が出ます。このような症状は何が原因で起こるのでしょうか?人の生理学の面からあがり症があらわれる原因について考えてみましょう。
あがり症の「あがり」の状態になる原因は、血液中のノルアドレナリンという神経伝達物質が関係しています。ノルアドレナリンの値が上昇することにより、あがりの状態になるといわれています。
このノルアドレナリンは一般的には覚醒や興奮に関わるものです。特に不安を感じたときや緊張したときにこのノルアドレナリンは分泌され、ノルアドレナリンが分泌されることによって自律神経の交感神経を活性化させます。
人は交感神経が活性化することで、血圧、心拍数、体温などが上昇すると言われています。ですので交感神経が働かないのも困り者なのですが、働きすぎると汗をかきすぎる、震える、などの症状があらわれてしまいます。これが人前に立つなどしたときに強くあらわれてしまうのが、あがり症の原因の一つだと考えられます。
人前に立つ、人前で話す、というときに交感神経が働きすぎることにより、赤面したり、声が震えたり、手足が震える、などの症状があらわれてしまうのです。こういった理由から、交感神経が敏感である人はあがり症になりやすい、といえるかもしれませんね。
あがり症の原因(心理面)
あがり症の原因は、心理面によるものが大きいといわれています。周りの人の目にどのように映るか、周りの人にどのように思われるかを不安に思うあまり、あがり症の症状があらわれてしまうのです。
あがり症はノルアドレナリンが過剰に分泌されることで人の交感神経が活性化し、発汗したり、動悸がしたりという影響があらわれます。これがあがり症を生理的な面から見た原因ですが、あがり症になる原因について心理的なものは関係しないのでしょうか?
あがり症の症状があらわれるのは、実は交感神経が敏感、という人が生まれ持ったものだけではなく、心理面も大きく関係していると考えられます。あがり症の症状があらわれる原因は、人の心にある不安にあると考えられるのです。
「周りの人に変に思われるのではないか」
そんな不安が非常に強くなり、体にまで影響があらわれてくるのがあがり症であると考えられています。
このような不安が原因となるあがり症は、外国よりも日本の発症者が多いと言われています。ということは、日本の社会的風潮が少なからずあがり症の発症に影響していると考えられるのではないでしょうか。
日本は集団行動、調和を重視する社会です。そのために人間関係を上手に保つこと、人とうまくやっていくことは社会生活を送る中では必要不可欠となります。そのような社会の中にあれば、周囲の目が気になったり、人とうまくやっていけるかどうか気にかかってしまうのはいわば当然かもしれません。
日本が周りとうまくやっていく必要がない、自分のやりたいようにやるのが当たり前の社会であれば、人の目を気にすることで生まれるあがり症のような症状は滅多にあらわれないでしょう。日本の昔ながらの社会風潮、国民性こそがあがり症の原因なのかもしれませんね。
意外と気づかない正視恐怖というあがり症とは?
あがり症には様々な症状が見られます。何も大勢の人前に立つときにだけあらわれるのがあがり症の症状ではないのです。
あがり症とよく言われますが、「あがり症」に含まれる症状は実に様々です。
もしかしたら症状は身に覚えがあっても、あがり症だと思っていない、気づいていない人もいるかもしれません。あがり症の症状は大勢の人前に立つときにあらわれるものと考えがちですが、決して人前に立つケースだけにあらわれるものではないのです。
たとえば正視恐怖という状態もあがり症の症状の一つです。
正視恐怖とは、一言で言うと相手をまっすぐに見れないということ。人と面と面で向き合ったときにどこを見てよいかわからなくなってしまうのです。これも、あがり症の症状の一つです。
自己視線恐怖もあがり症の一種とされています。
自己視線恐怖とはその名の通り、自分の視線を恐怖に感じることです。自分の視線が相手にどのような印象を与えるかが怖くて相手をまっすぐに見ることが出来なかったり、まっすぐ見ても目に不必要な力が入ってしまい、キツイ印象になってしまう状態のことを指します。相手を意識するばかりに、過度な力が目に入ってしまうのです。
結果、相手に悪い、キツイ印象を与え、また自分の視線を恐怖に感じてしまうという悪循環が生まれてしまいます。
このように自分の視線が怖いというのもあがり症の一種ですし、逆に人からの視線が怖く、いつも人から見られているように感じて思うがままに動けないというのもあがり症の一つだとされています。
笑顔がひきつってしまうのは、あがり症?
あがり症の症状は様々なものが見られます。たとえば笑顔を見せるときにひきつってしまったり、笑うべき場所ではない場所で笑いたくなってしまったり、というのも、実はあがり症の一種なのです。
あがり症の症状は、様々な場面で見られます。一見するとあがり症とは思えないような症状も、あがり症の一部だと考えられているのです。
たとえば、人と話をしているとき、特に問題のある会話をしているわけでもないのに顔が引きつってしまう、という人。こういった人もあがり症だと考えられます。
会話中に顔がひきつるのは表情恐怖症と呼ばれる症状です。この症状があらわれる人もあがり症だといわれています。
笑うときにもあがり症の症状はあらわれます。
普段何気なく笑顔を見せるときにもあがり症の症状があらわれることがあります。笑顔恐怖症とも呼ばれますが、自然に笑いたくても、笑ったときに顔がひきつってしまうのです。これもあがり症とされています。
笑顔がひきつるというのではなく、笑うような場所ではないのに、もっというと決して笑ってはいけないような場なのに、何の理由もなく笑い出しそうになる人。これは失笑恐怖と呼ばれますが、このような症状を持つ人もあがり症だと考えられます。
電話恐怖症もあがり症の症状です。
電話で上手く話せないために電話に出れない、もしくは電話に出るのが怖いと感じる人も、あがり症の症状があらわれているといえます。
このように人前に立っているとき以外でも、あがり症と考えられる症状は多く見られるのです。