あがり症の人の中には、あがり症を治療したいと思っている人も多くいるでしょう。重度のあがり症の人であれば、治療しなければ日常生活もままならないと感じることもあるかもしれません。
ではあがり症を治療するためにはどうすれば良いのでしょうか?
あがり症は治療をした方が良い!
あがり症としての症状も厄介なものなのですが、このあがり症、そのままにしておくとさらに悪化することがあります。あがり症が悪化したものが、以前は対人恐怖症と呼ばれていた、社会不安障害です。
「不安」とあるように、とても強い不安感を覚えることが特徴と言われています。たかが「不安」と思われるかもしれませんが、社会不安障害を抱える人の「不安」は日常生活にも影響を与えます。
自分が抱える不安によって、通常の生活を行うことが出来なくなってしまうのです。この強い不安はさらに進行することで別の病気、たとえばうつ病なども伴う危険性をはらんでいます。
こういった状態にならないようにするためには、あがり症の時点で症状を食い止める、社会不安障害に陥らないようにする、ということが大切かもしれません。とはいえ、あがり症も社会不安障害も、自分でなりたくてなっているのではありません。
そういった意味では、自力で治療するのは難しいものかもしれません。
そういった問題の専門家である病院やクリニックで治療してもらうと良いのではないでしょうか。なお、あがり症や社会不安障害では心療内科や神経科を受診すると良いでしょう。
あがり症の治療法 病院での受診
あがり症を治療するためには、是非専門家への受診をおすすめします。心療内科などへの受診、治療は決して恥ずかしいことなどではないのです。
あがり症を治療するためには、自分ひとりの力では解決できない問題もあります。そういった時は是非、専門家の診断を受けてみると良いのではないでしょうか。
自分ひとりでは出来ない治療法も試すことができますし、間違った治療法で症状を悪化させることもありません。また薬物治療などを行うためには、必ず専門家の判断をあおがなくてはなりません。
薬物などを使用する際は、決して自己流で治療することはできないのです。
しかし、あがり症や社会不安障害を抱える人は病院での受診を避ける傾向にあります。それは、心療内科や神経科に行くと心の病気だと周りの人から思われてしまうのではないかという不安が関係しているようです。
あがり症になる原因は、周りの人の目に自分がどのように映るかという不安だと考えられています。あがり症になる人が周りの目を気にしてしまうのは、いわば当然かもしれません。
しかし、実はこの思い込みこそが、間違いなのです。あがり症や社会不安障害で専門家を受診することは何も恥ずかしいことではありませんし、実際に受診すると「あれ?もう終わったの!」というぐらい簡単なものなのです。
受診するまでの第一歩は非常に踏み出しづらいものかもしれませんが、その一歩を踏み出したときに周りの目を考えず、自分の考えている行動を取れたという点からも、あがり症を治療し、克服することに向けて大きな一歩を踏み出したといえます。
あがり症に効く治療法 行動療法
あがり症の治療として行われる行動療法は、その名の通り行動をもとにした治療法になります。
あがり症であれば、あがり症であるために避けている行動、もしくはあがり症になる原因となった出来事がトラウマとなっているために避けている行動があります。
その行動をあえて行うことが行動療法に当たります。あえて症状を起こした原因となっている行動と同じ行動、経験を重ねることで、自分の中にある恐怖心を乗り越える目的があります。
例えば、人前に立つと緊張してあがってしまうという人であれば、実際に人前に立って恐怖心を克服するというのが行動療法です。
いきなり大勢の人の前に立たせるというようなハードなやり方もあれば、最初は少人数の前に立つことから始めて、少しずつ恐怖心を克服させるというようやさしいやり方もあります。このどちらもが行動療法にあたります。
あがり症になる原因は一人ひとり違うので、必ずこういった行動療法がとられるとはいえませんが、行動療法を続けることによってあがり症を引き起こしていた不安や緊張感を取り除いていきます。
不安や緊張感が取り除かれると、自然、あがり症の症状もなくなってくるというわけです。
あがり症に効く治療法 認知療法
あがり症の治療法のひとつに、認知療法があります。認知療法とは、あがり症の症状を持つ人の誤った認識を正し、心配や不安を取り除くことを目的として行われます。
これは、いわゆる「気づき」を重視した療法となります。あがり症で行われる認知療法とは、あがり症の症状を持つ人が間違って認識していることにまず気づくことから始めます。
あがり症の人であれば、たとえば人前に立つことは怖いという思い込みが間違っているということに気づき、人前に立つことは怖いことではないんだということに気づく必要があります。
こういったことに気づくことで、あがり症の原因となっている心の中の不安や緊張を自分の中で処理していく方法について学んでいくのです。
あがり症は、余計とも言えるほどの心配や不安によって引き起こされることが少なくありません。まずはそういった余計なとらえ方が正常化してしまっている状態を正す必要があります。
自分の中でのとらえ方、考え方が間違っていることに気づき、改めていくことであがり症を克服していくのです。こういった認知療法は、他の療法、たとえば行動療法や薬物療法と一緒に行われることが多い療法になります。
あがり症に効く治療法 森田療法
あがり症の治療法として、森田療法を取り入れている病院もあります。森田療法は日本で生まれた精神療法であがり症の治療にも効果があると考えられています。
あがり症の治療法は、様々なものが取り入れられています。心療内科や神経科では、森田療法と呼ばれる療法を取り入れているところもあります。
この森田療法は、名前からわかるように日本で生まれたものです。歴史も古く、今より約90年も前に作られました。精神科医森田正馬が作り出した精神療法であるため、森田療法と呼ばれています。
[amazonjs asin=”4826971362″ locale=”JP” title=”神経質の本態と療法―森田療法を理解する必読の原典”]この森田療法は神経症治療に用いられるものですが、あがり症の治療にも役立つと考えられています。森田療法があがり症の治療にも役立つとされているのは、森田療法が心のとらわれを解いていこう、とするものだからです。
つまりあがり症でいえば、「周りの人にどのように見られるか不安」という心のとらわれを解こうとするのが、森田療法なのです。あがり症の原因はそういった心のとらわれと考えられていますから、確かに効果的な療法だと言えそうです。
森田療法では、あがり症の治療と言っても、あがり症で実際にあらわれる症状に対して治療を行う、というわけではありません。あらわれる症状を認め、それも自分だとして受け入れて行動をしていくように進めるのが森田療法のやり方です。
あがり症の人であれば、たとえば「人前に出ると緊張してあがってしまう」という症状を認めて行動していくことを進めるのです。その中で心のとらわれを乗り越えることであがり症自体を治療していくのが森田療法のやり方なのです。